トルコ石の模造品とは
巷に出回っているトルコ石と呼ばれる石の中でナチュラルは稀である。もともと硬度も高くなく多孔質、であるため、様々な加工が加えられて流通する事が多い。
トルコ石の人造の模造品を最初に作ったのは、明らかにエジプト人である。
エジプト人は、磨いたファイアンス焼きの陶器を用いていた。後には、ガラスやエナメルも用いられた。
近代ではさらに洗練されたセラミックス、磁器、プラスチック、ならびにさまざまな組み立て、圧縮、接着および焼結された材料(さまざまな銅とアルミニウムの化合物)が模造トルコ石とし開発されている。
後者の例として、オレイン酸銅で着色し沈殿させたリン酸アルミニウムでできている「ウイーン風トルコ石」、bayeriteとリン酸アルミニウムの混合物「ネオリス」というのがある。
こうした製品のほとんどは、物性、化学特性において自然のトルコ石とは明らかに異なる。
しかし、1972年にピエール・ギルソンは真の合成過程に極めて近いものを開発した(使っている結合剤が違うために化学組成は本物とは異なるので、合成品というよりも模擬製品simulantというべきものである)。ギルソンのトルコ石は、均一な色合いと、黒い「蜘蛛の巣状の基質」を備えており、天然のネバダのものとは似ていない脈状配列を持つ。
ハウライトを着色した模造品
今日目にするもっとも一般的なトルコ石の模造品は、染色されたハウライトとマグネサイトである。
どちらも自然な状態では白色である。前者はトルコ石に似た(それらしい)黒い脈状配列を持っている。染色された玉髄、碧玉、大理石は、それぼど一般的ではないし、あまりそれらしくない。
その他の天然の素材で、トルコ石と間違えることがある、あるいはトルコ石の代用として用いられることがあるのは、バリッシャー石、ファウスト石(トルコ石の銅が亜鉛に置き換わったもの)、珪孔雀石(特に石英を含有しているもの)、天藍石、菱亜鉛鉱、異極鉱、ウォード石、および、藍鉄鉱に置き換わったために青い色に着色された、「歯トルコ石」と呼ばれる化石の骨または歯など。今日ではほとんど目にすることはないが、歯トルコ石はかつては特にトルコ石の代用品として、南フランスで大量に採掘されていた。
こういったトルコ石の偽物は、第一に拡大鏡を用いた非破壊の表面構造検査を始めとするいくつもの検査を用いれば、宝石学者なら見分けられる。
模様のない青白い背景に、白っぽい斑点またはまだらが見えるのが、天然のトルコ石の典型的な外見である。
一方で、人造の模造品は、色(一様な濃い青のことが多い)、模様(粒子状または砂糖状であることが多い)の両方で根本的に違っているのである。
ガラスやプラスチックは、透明度がずっと高く、しばしば表面からすぐ内側に泡や流れ線が見える。染色された模造品では、結晶粒界に染料のしみが見えることがある。
しかし、破壊検査が必要な場合もある。例えば、希塩酸を加えると、歯トルコ石の炭酸塩やマグネサイトでは泡が出るし、ハウライトは緑色を呈する。
一方、加熱プローブを用いると、プラスチックならば特有の刺激臭が出る。比重、屈折率、光吸収(吸収スペクトルで明らか)、およびその他の物理特性、光学特性もまた、識別の手段と考えられる。
模造品のトルコ石は非常に広く普及しているので、本物のトルコ石より数においてはるかに上回っているだろう。
ネイティブアメリカンやチベット人の「正真正銘の」宝石で用いられる素材ですら、模造品か、よくてかなり人工的な処理が加えられたものである。
参照: 「トルコ石」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。